(財)松翁会社会福祉助成事業報告
財団法人 松翁会より社会福祉助成金を受け2007年11月より2008年6月の下記の取り組みを行いました。

テーマ《保育園における母子へのDV&虐待の予防とケアへの総合的取り組み》
1.援助者のための研修会〔4回〕
(1)金香百合氏“あるがままの姿を受け入れて”
<日時>
2007年11月24日〔土〕2:00〜 参加者 55名
<内容>
神さまから命を与えられた一人の人間として子どもを尊重することの大切さ(大人の所有物でない存在)に気づく研修になった。  ☆研修会後、手作りケーキで 〜ほのぼのティータイム 〜   研修会で気づいたことなど お茶をしながら本音でおしゃべりできる 機会になった。  講師に日頃悩んでいることを聞いてもらい、援助者が癒される時間となった。
(2)講演会 川田悦子氏 “命の尊さについて“ /コンサート 掛屋剛志君“やすらぎの時代へ”
<日時>
2008年1月12日(土)1:30〜 参加者322名
<内容>
講演とコンサートを通して参加された方々に「命の尊さ」についての貴重なメッセージを贈ることができた。
(3)講演会 佐々木正美氏“子どもにとって生きる力を育むとは”
  ハープ&ヴァイオリンコンサート  摩寿意英子&赤松由夏 
<日時>
2008年6月7日(土)1:30〜 参加者168名
<内容>
親子の絆が希薄になった現代、子育てにとって何が大事か。生きる力とは「人を信頼して生きること」などわかりやすいことばで、講師からメッセージをもらい、講演会後のコンサートでは参加者の心が癒されるひとときになった。
(4)金香百合氏のDVについての話 “親子でハッピーになるために”
<日時>
入園説明会 3月12日(水) 1:30〜 参加者28名
<内容>
子どもをDV被害から守るための保護者への啓発の機会に。 
2.地域の支援者(民生児童委員など)とのDV&虐待問題への合同研修(1回)
(1)講師 金香百合氏“子どもがハッピーになるための援助者の研修会”
<日時>
2008年2月28日(木)6:30〜 参加者 48名
<内容>
民生児童委員など地域の援助者とのつながりをつくるため 
<参加者>
大宮町 更生保護女性の会 保護司、民生委員、児童委員など
地域の保育園、小、中学校の先生、安全パトロール隊、保護者
3.子どもへの支援事業 〜子どもがハッピーになるために〜 
<日時>
1月9日(5歳児2回) 参加者29名
1月30日(4歳児3回) 参加者37名
<内容>
在園児がもし暴力被害を受けるようなことがあればたとえ親であっても、それはいけないことだと気づき、自分の身を守れるように、ひとり一人が自尊感情を高める機会になった。
4. 母親への支援事業 
身近な人間関係で悩んでいるお母さんのための学習プログラムの提供(2コース)
「お母さんのためのハッピースタディーズ」
<日時>
1月28日 2月4日・18日・25日 14:00〜15:30 (平日4回) 参加者 延べ人数19名
4月19日・26日 13:00〜17:00 (土曜日2回) 参加者 延べ人数13名
<内容>
日頃育児と仕事の両立に疲れている母親のためのプログラムとして計画したが、実はパートナー(夫)との関係にも問題があることに気づき、父親も参加対象とした。
5.お料理&食事会
<日時>
(1)11月24日(土) 金香百合氏の講演会後“ほのぼのティーパーティー”
(2)12月26日(月) お餅つき会の日の夕方 わらわら忘年会  参加者29名
(3)1月25日(金) お父さんのための新年会     参加者13名
(4)2月9日(土) お父さんとわいわいクッキング  参加者5名 
<内容>
食を通して和やかな雰囲気の中でなんでも語り合える場として提供した。  参加された方は、どの方も、日頃のストレス発散になり、家族の良い潤滑油になった。  その日帰ってからはどの家庭も子どもにもゆったり接することができたようだ。
6.希望者への個別カウンセリング“心の扉” 担当 井ノ崎 敦子氏
<日時>
(1)3月5日
(2)5月21日 参加者 延べ人数9名
保育園における母子へのDV&虐待の予防とケアへの
総合的取り組みの効果について

現代のストレス社会では、家庭内における暴力、特にDVや虐待が発生しやすくなっています。子どもはその最大の被害者です。そんな中で保育園は、DVや虐待を早期発見しうる専門機関です。当保育園では、従来からその問題意識をもって保育にあたってきました。
今回は、松翁会助成金を頂くことができたおかげで、専門家や地域の民生児童委員の方々とも協力しながら、DVや虐待の予防や、早期発見・早期ケアによって、その被害を最小限に食い止め、回復を支援する総合的取り組みを実施することができました。

まず、援助者のための研修会を保育園内部、地域の支援者とともに、と何回も重ねてもつことにより、保育士の子ども支援や保護者支援への専門的スキルや態度が格段に向上しました。また、地域のみなさまとのネットワークづくりも、深化するという効果を上げることができました。

子どもへのワークショップを実施することで、子ども自身が自分のストレス状態に気づいたり、友だち関係の作り方を変えていくようサポートすることができました。その結果、子どもたちの自尊感情が高まり、自分や他者をあたたかく受けとめることができはじめるようになる、という効果がみえてきました。

保護者、特に、おかあさんたちのハッピースタディーズを実施することで、子育てに不安やストレスを感じている自分を、自覚し、それをときほぐしたり、問題解決的に考えたりする方法を体得しました。また、親同士の友好な関係をつくっていくきっかけとなりました。おかあさんのストレスが軽減し、笑顔が多くなると、子どもの関わりかたにてきめんに変化がでてきます。おかあさんを支援することによって、結果的に子どもを支援することになる、という最大の効果をあげることができました。

深刻な悩みや課題をもつ保護者には、個別なカウンセリング相談が園内にあることで、相談しやすい環境になりました。加えてハッピースタディーズなどで相談室のことが広報されたので、一段と、人に相談してよいと思える、身近な存在になるという効果をあげました。このことは、卒園後も、子どもの障がいなどをふくめた教育相談にも、つながりやすくなるという素地づくりになっていくものと予感されます。

その他にも、食事をともに楽しんだり、すばらしい講演会や音楽コンサートの機会が多く、子育て世代に、生涯学習やリラックスのヒーリングタイムを提供することができました。

このような総合的な取り組みは、保育園を拠点として、親と子を支える仕組みつくりを、地域ぐるみで実施する事業でした。
この結果、保護者と保育士の関わりが深まり、保護者同士のつながりもひろがり、
親と子の関わり方も、おだやかで愛情深いものに変わってきました。 当然、子どもたちの変化も著しく、笑顔が多くなり、ストレスが軽減され、いきいきと活動する姿が多くなりました。

こうした効果をあげることができましたことは、ひとえに、松翁会さまより、財政的な支えを頂くことが出来たおかげです。
こころより感謝してご報告させていただきます。

 

大阪YWCA大宮保育園
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